HOME > 冷却CCDカメラの選び方 


  CCDセンサは多種多様でどのようにして選べばいいか悩むことがしばしあります。 各ファクタ ごとに注目してどのようにCCDセンサを選べばよいか見ていきましょう。

資料】
  • 面積比較

    【カラー/モノクロ】
      CCDセンサにはカラー版とモノクロ版の2種類が存在し、カラーセンサはその名の通り ワンショットでカラー画像を撮影することができます。 一方モノクロセンサは3枚のRGB フィルタを使って3枚撮影し、パソコンでカラー合成してはじめてカラー画像が出来上がります。

        フィルタワークを駆使して被写体のコントラストを上げる撮影がしたいのであればモノクロを、 簡単に高品質な映像を撮影したいのであればカラーセンサを選ぶと良いでしょう。


    【解像度】
      一般に解像度(画素数)が高くなると価格も上昇しますが、得られる画質は解像度に 比例していると考えて良いでしょう。 近年では中判に相当するフォーマットをもつ CCDセンサも登場しており、映像を目的とした撮影では感度重視よりも解像度重視で選択すると良いでしょう。


    【画素サイズ】
      画素サイズが小さいほどより緻密に映像をサンプリングしてくれるため なめらかな映像が得られやすくなります。 またカラーセンサでは偽色と呼ばれる 現象がおきますが、画素サイズが小さいほどその発生も少なくなります。


    【冷却】
      CCDの特徴の1つに露出時間に比例して発生するダークノイズと呼ばれるものがあります。  これはCCDを冷やすことによりノイズを抑えることができ、温度5−6℃ごとに半減する 性質があります。 ダークノイズは固定パターンで出現するため、ダークノイズだけの 映像を撮影しておけば引き算して除去することも可能です。 しかしながら、完全に 除去できるわけではないので、CCD温度をできるだけ下げダークノイズの発生を抑えます。


    【量子効率】
    量子効率(略称Q.E.;Quantum Efficiency)とは入射した光子のうち電子に変換される変換効率を指します。  量子効率が高いほど感度が高いと言えます。 S/Nは量子効率と画素面積に比例します。


    【S/N】
    シグナル・ノイズ比のことで、この値が大きいほど滑らかな映像になります。 ノイズの多くは、フォトンノイズ、 ダークノイズ、スカイノイズが挙げられます。


    【フォトンノイズ】
    フォトンノイズまたはショットノイズは入射してきた光自信がもつノイズで、フォトン数の平方根に比例します。  たとえば10000個入射したとすると真の値は10000±100となり正確な値を決定することができません。


    【フォーマットサイズ】
      解像度とは別にCCDの大きさも様々で、お手持ちのカメラレンズや望遠鏡にあわせて フォーマットサイズを決めると良いでしょう。


    【フルウェルキャパシティ】
      画素に入射した光を電子に置き換えて蓄えておく場所です。 この容量が大きいほど 多くの情報を残せます。 通常数万〜数十万電子まで蓄えることができ、この電子を A/Dコンバータでデジタル信号に置き換えて読み出します。 このときA/Dのスピードを 早くするとノイズが乗りやすくなりますので、観測用ではA/Dレートを落とした カメラ設定が望まれます。 画素面積におおよそ比例します。


    【ゲイン】
      キャパシティに蓄えられた電子をデジタル信号に変換するときの係数で、通常はフルウェルキャパシティが 16ビット(65536階調)に収まるよう設定します。 たとえばフルウェルキャパシティが 10万電子であれば、10万÷65536=約1.5電子/DNとします。 DNはDigital Numberの略。


    【NABG/ABG】
    CCDセンサは特性上強い光が当たるとそこから電荷があふれ出し縦線が現れます。 これを ブルーミングと呼びます。 この現象を解決したのがABG(Anti Blooming Gateの略)仕様で、 感度は低くなるもののブルーミングが現れずクオリティの高い映像を求めるのであれば ABG仕様をご指定ください。 また観測・計測用であれば精度の高いNABG仕様をご指定 ください。 最近のCCDセンサはブルーミングゲートを持ちながら高感度のものが増えています。


    【クラス(またはグレード)】
    何百万という画素の中には欠損画素と呼ばれる画素があり、クラスが低いほど欠損画素数は少なくなります。  高い精度の測定を目的とする場合には欠損画素の少ないクラス0またはクラス1をご選択することを お勧めします。 欠損画素は温度を冷やすことにより通常の画素に近づいていき、ダーク処理 で軽減することもできますので映像を目的とする場合にはクラス2でも十分美しい映像が 撮影できます。


    【フルフレーム型CCD】
    撮影された映像を転送する方式の1種で、隣の画素に転送しながら映像を出力させます。 このため 転送中も露光されるのを防ぐ目的でメカニカルシャッターを必要とします。


    【インターライン型CCD】
    フルフレーム型CCDと異なり、画素に入射した光子は電子に変換され画素の隣にある電線を使って 出力します。 この電線はライトシールドされておりダウンロード中に露光があっても感光しません。  メカニカルシャッターを不要としますが、常時電荷がインターラインへ転送されているので 強力な光が当たる場合スミアを起こします。 また、電線がフォトダイオード部分を遮蔽するため 感光するフォトダイオード部分の面積が小さくなり感度が低くなる傾向があります。 これを改善するために マイクロレンズを使って小さなフォトダイオード部分に集光し感度を上げてます。


    【マイクロレンズ】
    画素の上に小さなレンズを配置し光をフォトダイオードへ集中させ感度を上げます。 マイクロレンズは 単レンズのため色収差がおき色ごとに入射特性が変化します。


    【裏面CCD】
    光を電子に変換するフォトダイオード部分は構造上遮蔽される場合があり表面から光を照射すると 量子効率が50-70%程度になります。 構造のない裏側から照射させることにより量子効率を90%以上まで 向上させたのが裏面CCDです。 感度が高い反面切削痕やフリンジパターンが出やすくなります。


    【切削痕】
    裏面CCDを製造する過程でCCDの裏側を切削し裏側から光が感光するようにします。 このとき 切削痕が感度ムラとして残ります。


    【フリンジ】
    裏面CCDではエタロン効果により赤外で干渉縞が発生します。 フラット処理で除去できますが 波長依存性が強く完全に除去するのが難しい場合があります。 エタロン効果が発生しないよう フォトダイオード部分を数十倍に厚くしたDeep-DepletionタイプのCCDがE2Vから供給されています。 フォトダイオード 部が厚くなったことでダークノイズも比例して多くなります。


    【アルゴンガス/キセノンガス】
    CCDは電子冷却により冷やされますが、CCDチャンバー内の空気を伝わって僅かながら外部から暖められています。 断熱効果の高い アルゴンガスやキセノンガスをCCDチャンバー内に封入することにより外界からの熱を遮断効果を高め CCDをより低い温度に下げる効果があります。


    【CCDカバーガラス】
    CCDセンサの上には保護用のカバーガラスがのっています。 カバーガラスの材質は多くが白板またはBK-7で可視用の 反射防止コートが施されています。 紫外線用途の場合にはこのカバーガラスをはずすオプションをご指定ください。


    【ウィンドウ】
    CCDセンサは冷却時に結露しないよう密閉されたCCDチャンバー内に配置されています。 CCDチャンバーの窓には ウィンドウが搭載されています。 紫外・可視・赤外に応じた材質・反射防止コートが選択できます。 紫外用途には 石英ガラスを用います。


    【EM-CCD】
    EM-CCDはCCDに電子増倍機構を設けたエリアセンサで、動画のように短時間露光での露出不足を補うために ゲインを極端に上げたCCDです。 このためシグナルとノイズが同時に増倍されるため SN比は上がりません。 1秒以下の短時間露光では有効とされていますが、1秒以上の露光では ノイズが大きく不向きなCCDです。 電子顕微鏡などのリアルタイム映像に使われています。