FLI 冷却CCDカメラのすべて 


FLI 冷却CCDカメラのすべて


Finger Lakes Instrumentation(略称FLI)は米国ニューヨークに本拠地を持つ冷却CCDカメラメーカで、 高性能なカメラを生産していることで知られており各方面で多大な評価を頂いております。 ここでは 細部にわたってFLIカメラの性能をご紹介していきたいと思います。

■プロラインとマイクロライン
FLIでは観測所向きのプロラインと、持ち運びに便利なマイクロラインの2機種のプラットフォームをご用意しております。  どちらも3段電子冷却・高速ダウンロード・低ノイズを基本スペックとし、冷却CCDカメラに求められる性能を 高い次元で発揮できるよう設計され多くのお客様にご満足頂いております。 
マイクロラインの特徴は小型でありながら-50〜-60℃の冷却能力を持っており、読み出しノイズも低くあらゆる アプリケーションに適しています。 プロラインはマイクロラインよりも更に冷却能力が優れており-55〜65℃冷やすことができます。  オプションの水冷放熱ユニットを取り付ければ最大-75℃まで冷やすことができます。 そのほかボディ側面には USBと電源ハブが装備されているためフィルタホイールやデジタルフォーカサーなどのアクセサリ類の取り付けが 便利になっております。

■冷却能力
  映像を電気信号に変換するCCDセンサは非常に感度が高く光子1う1つの僅かな信号も検出することができます。  そのためCCDセンサ自身がもつノイズも検出してしまいます。 CCDは温度に応じて固定ノイズを出し、これを ダークノイズと呼んでいます。 決まった値を常に出すためノイズではなくシグナルとして分類されますが、 映像に対して不必要な信号のため一般的にはノイズと呼ばれています。 
  ダークノイズはCCDの温度が下がるとノイズの量も減る性質があり、一般に5-7℃冷やすとノイズが半減します。  したがって、CCDを冷やせば冷やすほどノイズが低くなり、より冷却能力の高いCCDカメラが高性能なカメラとして 評価されています。 FLI製冷却CCDカメラは3段電子冷却を備えており(小型CCDは2段冷却)外気温から約−60℃冷やすことができ、天体撮影や 蛍光顕微鏡による微弱な光を正確に捕らえることができます。 水冷放熱アシストを使うと−75℃まで冷却することが 可能となります。

■ダウンロードスピードの速さ
  FLIの冷却CCDカメラはCCDに集まった光信号を電気信号に変換しそれをパソコンへ読み出すまでの時間が極めて速く、 1000万画素クラスのCCDセンサを搭載していても1−2秒でダウンロードすることができます。 ダウンロード時間の 短縮の重要性は見落としがちですが実は極めて重要で、特に天体写真においてはダウンロード時間が短い分1回の露光時間を 長く設定することができます。 またピント調整時のフォーカシングにおいてもストレスなく操作することができます。  一般にダウンロードスピードを上げるにはA/D変換スピードを上げることになり、A/D変換の速度を上げると読み出し ノイズが上昇しますが、FLIでは高価なA/D変換デバイスを使って読み出しノイズを抑えつつダウンロード速度を上げております。  また、FLIのカメラでは2種類のダウンロードスピードが用意されており、より低ノイズで読み出したい場合にはソフトウェア上で 低速モードに切り替えることができます。

■CCDセンサの豊富さ
  撮影目的に応じてピクセルサイズ・画素数・感度特性が異なります。 豊富なラインナップから目的に応じたCCDを お選びいただくことが出来ます。 英国E2V社からは高感度の裏面CCDセンサが供給されており、紫外・可視・赤外 の目的に応じてタイプをお選びいただくことができます。 もっとも感度が高く面積の広いPL230-42/ML230-42は 日本の天文台などで活躍しております。 またML4710は天体撮影のみならず顕微鏡やマクロ撮影にも広く使われております。
  KODAKはもっとも数多くのCCDセンサを用意しており、特にイメージング用途に適しています。 インターライン型CCDを はじめ5000万画素を超える画素数は従来にない新たなイメージを映し出してくれます。 

■ノイズの低さ
微弱な光を捕らえる上で非常に重要になってくる要素がノイズです。 ノイズが少なければ少ないほど情報は正確になり、 より精度の高いデータが得られたり綺麗な映像が撮れることにつながります。 FLIのカメラは高速ダウンロードにもかかわらず 低い読み出しノイズに加え、強力な電子冷却装置によりダークノイズも極めて小さく抑えることができます。

■弊社独自の高精度ウィンドウ
これだけ高性能なカメラですから弊社では細部にわたって性能を追求しております。 CCDを格納しているCCDチャンバーには 光学ウィンドウが使われFLIの標準品では可視用反射防止コートが施されております。 弊社では対象波長域を更に広げ、 紫外から赤外まで今までに無い波長域で反射防止コートを施してあります。 また弊社ではFLI標準ウィンドウよりも10倍面精度の高い 光学ウィンドウをFLIの工場に組み込んでもらい、ウィンドウによる像の乱れ・位置ずれを極限まで抑えており 星像の美しさや位置測定の高さを高次元まで高めています。
  • ゴーストレスフィルタとマルチコートウィンドウ
  • 可視赤外反射防止コート

    ■封入ガス
    CCDを格納しているCCDチャンバーは外気との熱遮断をする目的を持っており、この目的を高めるために熱伝導率の低い アルゴンガスが標準で封入されています。 これにより普通の空気よりも数℃冷却効果をあげることが出来ます。  お客様によっては更に冷却温度を下げる必要がある場合には、アルゴンガスよりも熱の伝わり方が低いキセノンガスを 封入できるオプションをご用意しております。
  • FLI キセノンガス充填サービス

    ■アプリケーションの豊富さ
    冷却CCDカメラは長時間露光を目的として設計され主に天体撮影に使われておりますが、実は多くの場面で冷却CCDカメラが 必要とされています。 蛍光顕微鏡を用いた計測では発光が微弱なため冷却CCDを用いられることがあります。 このほか 電気泳動や構造解析などにも広く応用されております。 マウント形状にはCマウントをオプションでご用意しており、 これらのアプリケーションに対応できるようにしております。

    ■アクセサリの充実
    映像を撮影するには冷却カメラ本体に加えレンズやフィルタ、フォーカサーなどが必要になります。 FLIではφ28mm〜φ79mm まで対応したカラーフィルタホイールを数多く揃えております。 また微小な位置制御ができるデジタルフォーカサーも ご用意しており、これらはFLIの冷却カメラにコンパクトかつ強固に取り付けできるようになっております。

    ■お客様
    FLI冷却CCDカメラをお使いのお客様は日本各地に大勢いらっしゃいます。 国内最大級の天体望遠鏡をもつ公共天文台や 宇宙観測を行う研究機関、大学研究機関、企業、アマチュア天文家に数多く販売実績をもっております。 故障が極めて少なく 高性能なカメラは日本人の高級志向または高性能重視にぴったりマッチングしたカメラです。 

    ■サポート
    弊社ではCCDカメラに関する高い知識と実績をもっており、多くのお客様にご満足いただけるようご購入前から細部にわたって ご相談を承っております。 購入後も安心してお使い続けられるようサポートさせていただいております。 

    リンク : FLIプロラインシリーズFLIマイクロラインシリーズ